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2016年11月07日

人と人の気持ちが"つながる"デザインとは? 田中美帆さんの大学講義のようなラウンジ・スイッチトーク!

ラウンジ・スイッチ4回目は、ソーシャルデザインに着目!

中盤に入り場にワクワク感が増してきたラウンジ・スイッチ4回目は、多摩美術大学でもソーシャルデザイン論を教えていらっしゃるデザイナーの田中美帆さんを迎えました。田中さんのトークはまさに90分の大学講義のような濃密さ。ソーシャルデザインとは「社会の問題を想像的に解決すること」。公益性(みんなのためのデザイン)、協働性(みんなでつくるデザイン)、持続性(つづいて行くデザイン)という3つの要素で成り立っていると、田中さんは言います。こんな話を聞けるなんて、多摩美生が羨ましい! と思ってしまう田中さんのソーシャルデザイン論には、会場が満員になるほどの大盛況!デザインのもつ可能性が溢れていました。

NYの財政危機を救った「I ♡ NY」は、サスティナブルなソーシャルデザイン

トークはグラフィックデザインの偉大な事例でもある「I ♡ NY」ロゴの成り立ちの紹介から始まりました。NYで生まれ育ったデザイナーのミルトン・グレイザーが生み出し、現在までNYの土産物店などで長く愛されている「I ♡ NY」デザイン。これは当初、70年代のNY市が抱えていた財政危機を救うために打ち出された観光キャンペーンで使用され、グレイザーが無償でデザインしたもの。総務省が著作権を所有して、使用料を支払えば誰でも活用できるデザインとして、現在まで街中で活発に展開されています。そして、NYが悲しみで包まれた9.11事件の後、グレイザーはハートが少し焦げて、「MORE THAN EVER」と追記された「I ♡ NY」ロゴのポスターを制作しました。ポスターは地下鉄や街角に貼られ、この活動により集まった寄付は9.11で被害を受けた様々な団体に義援金として送られたそう。時代が変わっても大きな影響を与え続けている、みんなのための継続性あるデザインと言えます。

おもいやりのデザインを生み出すプロセス

ソーシャルデザインの文脈の中でよく聞く、ふたつの言葉「インクルーシブデザイン」と「ユニバーサルデザイン」。どちらも、ほぼ同義で、弱者に優しいデザインと理解している人が多いと思います。これらは高齢者、障がいを持つ人、外国人など、社会の中での構成人数が少なく「極端ユーザー」と呼ばれる人々に着目して、極端ユーザーにとって使いやすいデザインこそ、多くの人にとって使いやすいはずと、こうした人々と共にデザインのアイディアを練るという手法です。あらためて知ることで、インクルーシブデザインやユニバーサルデザインは、誰かの小さな声をきちんと受け止めることのできる「おもいやり」あるデザインプロセスなのだと気がつかされました。

身近な課題の解決を考えてみる、マイプロジェクト

多くのソーシャルデザインの事例を共有くださったトークですが、後半は聞いて理解したことで、自分もクリエイティブに課題解決をしてみようと、マイプロジェクトのワークシートに取り組みました。田中さんが大学で教える際にも活用しているワークシートです。ある多摩美生は、「ひとり暮らしで野菜を摂れない」という課題に着目。そして、大学に畑と養鶏場をつくって、学祭で販売したり学食のメニュー開発をすることで、楽しく解決していこうという仕組み「たまファーム」というプロジェクトを考えたそう。身近な小さな課題であっても、発想を転換させていくことで、楽しく課題解決ができる。そうした思考力を鍛えるために、ワークシートが役に立ちます。

誰もが弱者になりうる社会を、多くの人にとって過ごしやすい場所にする

田中さんのトークを受けて、ラウンジ・スイッチ ゼネラルマネジャーの山名清隆は、「こんなに優しく、素直にソーシャルデザインを見ている人は貴重」といい、田中さんと同じ大学の別学科で同じくソーシャルデザインを教えているゼネラルマネジャーの上田壮一も「今日は新しい視点をもらった」と話していました。「もう少し社会が変われば…」と、日々の暮らしの中で小さな社会課題を見つける人は、実は多いのかもしれません。ですが、その課題にどう取り組んでいったらいいかは、なかなか見いだせないもの。田中さんからソーシャルデザイン論を聞く中で、小さな課題から大きな課題までを解決に導く思考の道筋が照らし出されてきたように思います。

次回ラウンジ・スイッチには、マスコミ業界に新しい風をよびこむドラマプロデューサーが登場

残すところあと3回となった次回ラウンジ・スイッチは11月22日。オーガナイザーはドラマプロデューサーという多忙な仕事を持ちながら、マスコミ業界で働く人のためのトークイベント&勉強会を立ち上げた橘康仁さんです。日本をもっとクリエイティブな国にしたいと語る、その活動の原動力と苦労をお話しいただきます。

ラウンジ・スイッチには、各回ごとの参加も可能ですので、ぜひ手帳に日程を書き込んでおいてください!

あなたのスイッチを「ON」するラウンジ・スイッチ。心にスイッチが入ったら、夕暮れ時には早めにヘッドライトを点灯して、おもいやりの灯りで社会をちょっと素敵に変えてみませんか?

いかがでしたか?もしよければシェアして早期点灯の話題を広めてみませんか?

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