「ヘッドライト早期点灯研究所」は、早期点灯の実施に役立つ情報の調査を行うチームです。今回は夕暮れ時の「視認性」についてフォーカスします。先日ご紹介しました、視認性の実験について、北里大学医療衛生学部視覚機能療法学専攻講師 川守田 拓志先生に視線解析で科学的に分析をしてもらいました。
視線解析は以下の手法により行われました。
・3MTM視線予測サービス(3M Visual Attention Service: VAS)Ver. 4.9 を使用
(http://solutions.3m.com/wps/portal/3M/ja_JP/VAS_APAC/Home?WT.mc_id=www.3m.com/jp/vas)
上記のシステムを使うことで以下の内容を得ることができます。
・①リージョンマップ
ヒトが画像を見た時,最初の3~5秒間の注意の引かれやすさを3段階(赤枠:70%~99% 黄色枠:40%~70% 青枠:20%~40%を示す)でスコア表示することができます。
・②ヒートマップ
人の感情といった予測できない要因を除いたコントラスト(明度コントラスト、黄/青のコントラスト、赤/緑のコントラスト)、形、色、顔、文字から視覚的要素を検出し、注意の引かれやすさを徐々に変化する色で表示することができます。
まずはクルマの視点から見た「歩行者・自転車」を見てみましょう。
クルマのヘッドライトの点灯有無にかかわらず、日の入り30分前から暗い色の服装を着ている人は視線が行きにくくなっている事が分かります。
反対に、明るい色の服装の着用をしている人については視線が行きやすくなるため、着用に効果があると言えるのではないでしょうか。
また、自転車、歩行者問わず反射材の着用をしている人は全ての時間帯において視線が行きやすいことも分かります。
川守田先生もこの結果から、「黒い服を着た方は、日没30分前から注目度が下がっている。」「黄色い反射材をつけて自転車走行している方は、最後まで注目度を保っている。」ととコメントしていて、歩行者・自転車における明るい色の服装の着用・反射材の着用は有効なものと思われます。
次に、歩行者・自転車の視点から見た「クルマ」を見てみましょう。
この視点では、クルマのヘッドライト点灯有無による「クルマの見られやすさ」を検証することができます。解析結果を見てみると、日の入り30分前からヘッドライトを点灯しているクルマの方がより視線が行きやすい。という点が分かります。写真の印象でクルマが見えやすくなっているという点が解析結果でも裏付けられているのではないでしょうか。
川守田先生もこの結果から、「日の入り前から視線の行きやすさに差がでていることから、早期点灯で注目度が上がることが、視覚的にアピールできそう。」とコメントしています。
今回の実験では早期点灯と明るい色の服装・反射材の注目度合いを可視化することができました。
前回のレポートの写真の印象だけではなく、科学的に分析することで
ヒトの視線の行きやすさを明確にすることができました。
また、日の入り30分前からのヘッドライトの点灯と明るい色の服装が視線の行きやすさにもつながることが実証されたのではないでしょうか。
この内容を元に是非クルマを運転する方はオートライトの活用と早めのヘッドライト点灯、
歩行者、自転車の方は明るい色の服装や反射材の着用を実践してみませんか?
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