「ヘッドライト早期点灯研究所」は、早期点灯の実施に役立つ情報の調査を行うチームです。今回は先日の夕方安全創造会議で発表されたおもいやりライト運動と北里大学の共同実験の概要をご紹介します。
「夕方の視覚に関する実証実験案」について、北里大学医療衛生学部視覚機能療法学専攻講師 川守田 拓志先生から発表がありました。
視覚の領域では、「環境の明るさや対象物のコントラスト差による視力の低下」「瞳孔の大きさにより物がぼやけて見えてしまう」という事が確認されており、夕方の時間帯は動体視力、立体視、色覚の機能が自覚がされず低下していくという事がわかっています。
現在おもいやりライト運動でもおすすめしている、「早目のヘッドライト点灯」「反射材の着用」といった夕方の交通事故対策はどの程度効果があるのか?という点を調べるとともに、他にも有効な手段を探ることでより夕方の交通事故の削減に向けた提案ができるのではないかと考えています。その手段を多角的な視点から探るため、様々なデータの解析を行うのが今回の実験の目的となります。
そのためには、夕方の視覚を評価するための実験空間を作る必要があると考えています。
夕方の視覚を評価するための実験空間づくりには以下の要素が揃う必要があると考えています。
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・人工の夕方を作る
人工太陽の波長分布、位置をコントロールするための機材
・走行時のヘッドライトと同じ条件を作る
ヘッドライトの輝度や方向をコントロールするための機材
・交通事故の状況を再現する
交通事故状況の分析と再現の検討
・結果の表現方法をデザインやアートで紹介する
みる人を惹きつけて導くためのデザイン、空間づくり
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上記の要素に加えて、
・夕方の視覚機能を評価する
この分野については、視覚機能を評価するための機材の準備とデータの分析は川守田先生を中心に実施する予定です。
右の図はイメージ図ですが、人工の夕方を作り出し、様々なデータの収集を行うとともに、見る人を惹きつけるデザインでご紹介することができればと思っています。
これらの要素の整備についてはおもいやりライト運動事務局が中心となり、
協力頂く企業と一緒に実施する予定となります。
今後のスケジュールとしては、
2014年 協力企業を募り計画立案
2015年 実験開始
2015年以降 おもいやりライト運動を通じて報告
という流れで進行していく予定です。
また、実験の途中経過はこのヘッドライト早期点灯研究所のレポートとしてもお伝えしていきます。
先日の夕方安全創造会議の交流会でも実験の実現に向けて様々な方と交流を行いましたが現在も協力いただける方を募集中です。気になる方は是非おもいやりライト運動事務局までお知らせください。
また、2018.8.31には北里大学 医療衛生学部 & VisionCLUB主催にて、「つながる、見えるサイエンス」が実施されました。
おもいやりライト運動も、ヒヤリハットマップを作成する企画として参加。地元の学生チーム「南区学生自転車会議」と一緒に相模大野駅周辺の危険個所の分析を行いました。記事についてはこちらをご覧ください。
日々の生活ではよく聞く、夕方は交通事故が急増する。それを減らすために見られるための光となるため、おもいやりライトを推進していますが、それをより科学的に、実証を行いながら検証していくこの共同実験。今後もレポートとしてご紹介していきます!
周囲のクルマや歩行者におもいやりをもってみて、
クルマを運転する方はオートライトの活用と早めのヘッドライト点灯、
歩行者、自転車の方は明るい服装や反射材の着用を実践してみませんか?
交通事故を減らすため、多くの専門家の方々や企業の方々が力を合わせていただけるといいなと思います。
早期点灯の啓蒙は非常に良い事だと思います。
しかしその有効性(逆に言えばヘッドライト未点灯の危険性)がまだまだ認識されていないのが実情です。
正直な所、これまで示されたヘッドライト点灯の有効性を示す比較画像はアピール不足だと思います。なんだヘッドライト未点灯でも見えるじゃないか、と思わせる様ではダメなのです。
例えば曇天の日にコントラストがつきにくい背景で日没前にカーブミラー越しに暗色の車を使って撮影すればかなり見えない状況が再現し、同条件でヘッドライト点灯車を撮影すれば点灯効果は明確になります。
さらに、カーブミラーではよく見えないので前進したら他車が出てきてハッとしてブレーキ、という動画にすれば効果大です。同時にヘッドライト点灯車はカーブミラー越しに見えるので運転者は安心して対応できるという動画も用意します。
私が考えてもこれくらいの事は思いつきますから、専門家が考えればもっと良いシナリオができるはずです。多くの人に「なるほど、早期点灯は重要だな」と思わせるプレゼンテーションが必要ではないでしょうか。