●11月10日に行われた「いい点灯の日」の様子、夕方安全創造会議といい点灯の日の様子をまとめた映像はこちらから
今年も秋がやってきました。
おもいやりライトの秋! 11.10(いい点灯)の日の秋です!
昨年に引き続き、11.10(いい点灯)の日を盛り上げ、ヘッドライトを日没30分前に点灯して夕暮れ時をより安全に過ごそうという、おもいやりライト運動の活動をさらに各地へ広めるため、11月6日には、日産自動車グローバル本社にて、11.10(いい点灯)大作戦プレイベント「夕方安全創造会議」が行われました。
参加者は総勢170名。日常を過ごす街をより快適にと願う市民や、趣味のアクティビティで培ったネットワーク社会に役立てたいと考えた市民活動団体の主催者、勤める企業の得意分野がよりダイレクトに社会に役立つシーンを創出したいと考える企業人などなど、集まってくださった方々は多様なバックグラウンドを持つ、社会参加意欲の高い人ばかりです。
この日のテーマは「美しい夕暮れ時の道路を、クリエイティブなアイディアでもっと安全に過ごそう。」というもの。FMヨコハマのパーソナリティーでもある鈴木まひるさんをMCに迎え、「お・も・い・や・り」を、世界の共通言語化するべく、会議がスタートしました。
会議前半は「夕方体験劇場」です。ここで登場したのは、おもいやりライト運動に深く共感し賛同してくださった、横浜市民で俳優の大和田伸也さん。夕方体験劇場での大和田さんは、「人間の目の生理現象として明るい所では赤がよく見え、暗くなると赤が見えづらくなる」という、その名もプルキニエ現象を発見した、19世紀のチェコの生理学者ヤン・エヴァンゲリスタ・プルキニェの意思を継ぐ、プルキニエ3世の役を演じてくださいました。
「諸君、ようこそ私の研究室へ!」
大和田さんの渋くて暖かい声が響いた瞬間、会議室はプルキニエ3世が「夕方とはどういう時間帯なのか」を日々研究している研究室に早変わり。会場の灯りは少しトーンダウンしています。MCの鈴木まひるさんは、プルキニエ3世の助手役として白衣を身にまとい、「いま、この会場は日没30分前の明るさになっています。」と教えてくれます。おもいやりライト運動がヘッドライトの点灯を推奨している日没30分前が、「こんなに明るくてもライトを点けるの?」と思ってしまう程に明るく感じられるということが分かります。
実はこの夕方、人間にとっては少々、気をつけなくてはいけない時間帯なのだとか。プルキニエ3世によると、人間の心理は夕暮れ時に不安定になりやすく、衝動買いをする人が多いといわれていたり、日中の疲れや空腹により人間の認知や思考能力が著しくて低下してヒューマンエラーが出やすくなる時間帯なのだそうです。空がオレンジ色に染まる美しい時間なのに、日本語では「大禍時(おほまがとき)」が転じて「逢魔時(おうまがとき)」と表現されるように、夕方は「魔」が潜んでいる時間帯だとも言われているのです。
おもいやりライト運動が言及している夕暮れ時の事故の多さには、その背景に人間の心理現象があるということが分かりました。では、美しさとキケンが背中合わせに存在する夕方を、どうすれば安全に過ごすことができるのでしょうか?
そこで、華々しい音楽とともに、「世界の夕方安全創造のためにやってきた! 夕方安全創造戦士達です!」という紹介で登場したのが、3名のプレゼンター。クルマ、人、社会の3つのテーマで、技術により夕方をより安全にする決意をみなぎらせたプレゼンテーションをしていただきました。
まずはヘッドライト製造メーカーである株式会社小糸製作所の帖地雅隆さん。「より明るく、長寿命で、多くの人が使いたくなるスタイリッシュなライトをつくる」ことがライト業界の使命だとし、最新式のヘッドライトを紹介くださいました。最新式のヘッドライトはハンドルと連動してクルマの進行方向にあわせて動き、見たい方向を照射してくれます。なおかつ対向車や歩行者を認知すると、相手が眩しすぎないように調光してくれるという、まさに未来型製品。おもいやりライト運動普及の後押しとなってくれそうです。
次に登場したのは反射材メーカー、スリーエムヘルスケア株式会社の三上俊也さん。みずから休日を返上して手作りしたという、反射材素材のド派手なコスチュームであらわれ、会場を驚かせました。三上さんは、反射材素材がどのように光を反射しているのかという性質の説明と、どんなシチュエーションでも「見られやすくする」ことで身を守る、蛍光色のテキスタイルと反射材を組み合わせた高視認性安全服を紹介。「安全とは見えること。相手の存在を分かっていれば事故は起こらない。」と、歩行者がクルマから見られやすくするための工夫として、反射材製品を身につけることを熱く奨めてくださいました。
3人目の夕方安全創造戦士は、株式会社フィリップス エレクトロニクス ジャパンの久保徳次さん。家庭でも、街灯としても役立つ、様々バリエーションを持つ遠隔操作が可能なLED照明システムについてご紹介くださいました。オランダでは未来型交通システムとして、横断歩道と信号を一体化し、クルマが歩行者をより認識しやすくする取り組みが行われているそうです。低コストで明るいLEDを取り入れたシステムは、交通安全のみならず、防犯にも役立つのだとか。「LEDの技術が安心安全な社会をつくる一助になる」とお話くださいました。
会議後半にはワークショップが行われ、参加者はグループに分かれて、日没30分前にヘッドライトを点灯する“おもいやりライト”が当たり前に実践されている社会に変化するために必要なこと、いまの私たちができる具体的なことを話し合いました。ワークショプで頂いたアイディアや提案は、今後のおもいやりライト運動に活かしていく予定です。
今回は平日の日中に開催されたためか、スーツ姿で参加された方も多くいらっしゃいました。企業としておもいやりライト運動に共感し、賛同してくださる方々がより増えて来ているという現れでもあるようです。しかし、おもいやりライト運動はやはり“ソーシャルアクション”。自分から行動を起こすことで、社会を変化させていくんだという強い想いを持った個人が原動力となります。夕方安全創造会議に出席したひとりひとりが夕方安全創造戦士となり、企業や自治体、個人という枠にとらわれずに活動することが社会を変化させていくのです。
「日没30分前になったらヘッドライトを点灯するという指先のアクションで、おもいやりの輪を広げましょう」と、おもいやりライト運動事務局長の長谷川から挨拶があり、11.10(いい点灯の日)に行う16時一斉点灯アクションの成功を祈って、この日の夕方安全創造会議を終えました。