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2016年06月23日

足立拓巳のおもいやり発見の旅 京都レポート

 

日産リーフに乗って「おもいやり」と「グッドアクション」を探しながら日本を一周する「足立拓巳のおもいやり発見の旅」。身体を張っておもいやりを探す旅を続けている彼が京都を訪れるのにあわせて事務局スタッフも京都へ駆けつけ、4月25日に座談会をおこないました。

京都に集結して 交通安全とおもいやりの意見交換

 4月15日に横浜をスタートした「足立拓巳のおもいやり発見の旅」。この旅にはサポートメンバーが同行しているのかと思われがち(何を隠そう僕もそう誤解していました)ですが、実は彼だけの一人旅。現地での仕切りから交流・取材はもちろん、クルマの運転、(電気自動車なので)充電スポットの検索、そして毎日のレポートフェイスブックへの投稿などもひとりでやっているのです。なんというマルチプレーヤーっぷり。若いって素晴らしいですね。
 でも、さすがに慣れない一人旅を続けていたらホームシックになるかもしれない。そんな親心、いや「おもいやりの心」を胸に事務局スタッフは彼の京都巡礼にあわせて京都へ駆けつけました。というのは表向きの理由で、本当の目的は「おもいやりに基づいた地域のグッドアクション活動」の意見交換をするために京都へ向かいました。
 意見交換会に集まっていただいたのは、京都女子大学の松林未誉子さん、「Pagong(パゴン)」のブランドで知られる亀田富染工場の亀田和明会長、そして環境対策支援などの活動をおこなっている地域環境デザイン研究所ecotoneの太田航平さん。ライティングガールをはじめおもいやりライト活動事務局のスタッフとともに、京都を舞台に、「交通安全」と「おもいやり」そして「グッドアクション」について熱く語りました。

女子大生発高齢者の散歩中の事故を防ぐ

 大学生からの事故を減らす取り組みをプレゼンしてくれたのが、松林未誉子さん。「高齢者の事故を減らしたい」という想いから、大学のゼミ活動の一環としてチップを内蔵したタスキ型の反射素材を開発し商品化を目指しています。アイデアの原点にあるのは、「健康のために散歩している高齢者は多いけど、安全に役立つ反射素材を身に付けている人は少ない」という現状。そこから生まれた「反射素材を身に付けていれば夕暮れ時から夜間にかけてクルマに発見されやすくなるので事故を減らせるのではないか?」という発想です。
 なによりのポイントは着用率を高めるにはどうすればいいか?という工夫。タスキ型としたのには、反射素材の範囲が広いこと、そして軽くて手軽に付けられることに配慮しているからなのだそうです。
 そして注目がチップを内蔵していること。歩いた距離や歩行数を測ることで運動のデータがとれます。それを本人が確認するだけでなく、遠くに住んでいる家族に送ることで運動量の変化や健康、そして体調などを離れて暮らす親の状態を確認できるという、まさしくおもいやりのアイテム。これは興味深いですね。
 現在は商品化に関してのいくつかのハードルをどう越えるか試行錯誤中とのことですが、小さなアイデアがおもいやりとなって高齢者の事故を防ぐアクションは素晴らしいことです。

ファッション性と機能性に安全性を追加するおもいやり

 これまでも多くのアイデアで染物の常識を破ってきた亀田富染工場の亀田和明会長。同社のアイテムで交通安全に役立つ「おもいやりの逸品」があったので、話を聞かせていただきました。
 同社は友禅の高い技術を持つ工房で、染物を使った新しい取り組みにもチャレンジしています。そのひとつとして、夜間の歩行者をクルマが発見しやすいアイテムの「PiCKA」。高い染物技術を生かして反射箔を友禅の技法で金銀・色箔と融合させ、ライトに当たると箔の部分が反射するバッグを開発し販売しているのです。
 素晴らしいのは、このバッグを使うだけで反射素材を身に付けられること。バッグの機能性と実用性に加え、安全性も自然に備わるというわけです。
 この商品を開発する原点となったのは、同社の従業員が夜間に後方から来たクルマに轢かれてしまった悲しい事故が発端とのこと。それに心を痛めた亀田会長の「反射素材で夜の歩行者の安全性を高めたい」という思いやりの心が根底にありました。
 それにしても斬新なアイデアで京都の染物会をリードする亀田会長、エネルギッシュかつ気さくな雰囲気で人を惹き付ける魅力が印象的です。

選択肢を作って広めていくのが大切なこと

 京都を拠点に「環境」をキーワードにいろんな仕事をしている太田航平さん。自然環境も生活環境も含めて、持続可能な世界を作る活動をしています。
世の中には「頭でわかっているけど、行為につながらない」ことが多いという。たとえばレジ袋。かつてはみんな使っていたけれど、最近は使わない人も増えています。そのきっかけのひとつがレジ袋の有料化で、その結果エコバッグは広く普及したのです。
 「本当は環境を守るためにはそのほうがいいと思っていた人も多いだろうけど、なかなか広まることがなかった。でも、ちょっとしたきっかけで世の中は変わる。有料化は賛否両論あるけれど、流れをデザインするのは大切じゃないだろうか」。そう彼は言います。
 彼のアイデアは環境の話だったけど、おもいやりライトでも流れをデザインしていく余地はあるのではないだろうか? 足立拓巳をはじめ事務局スタッフはそう感じました。「選択肢を作って広めていくのが大切なこと」という太田さんの言葉が印象的です。

まだまだ続くおもいやり発見の旅

 翌日は亀田富染工場で友禅染の様子を見学。まさに職人技、と思える布に色をのせていく繊細な作業を見せていただきました。
 こうして足立拓巳は京都でもグッドアクションをしている多くの人と出会い、この日も多くの「おもいやり」を吸収してまたひとつ成長。おもいやりライト事務局スタッフが激励に訪れたからか、それとも実家のある京都だったからなのかは不明ですが、表情も明るく動きも活発でした。どうやらホームシックは大丈夫そうですね。
 「足立拓巳のおもいやり発見の旅」はまだまだ旅の中盤に差し掛かったところ。フェイスブックをはじめとする毎日のレポートもぜひチェックしてください。
 それにしてもかなり久しぶりに訪れた京都。街中では着物姿で歩く観光客が目につき、日本の伝統文化を大切にしようという気持ちが伝わってきました。多くはレンタルと思われますが、手軽に着物を着る環境を作ることで日本の伝統文化を守っていくというのもグッドアクションですね。

●参考ウェブサイト
地域環境デザイン研究所 ecotone (エコトーン) http://www.ecotone.jp/
祇園祭ごみゼロ大作戦 http://www.gion-gomizero.jp/
FM79.7MHz京都三条ラジオカフェ http://radiocafe.jp/

<プロフィール>
●工藤貴宏(クドウ・タカヒロ)
1976年2月長野生まれ、東京在住
物心ついた時からクルマに興味を持ち、中学生の時には自動車雑誌の読み漁りを開始。18歳の誕生日を迎えた翌日に仮免許を取得し、クルマを運転する悦びにドップリと浸かっていく。大学時代に自動車雑誌の編集部でアルバイトしたことをきっかけとし、自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターへ。自動車雑誌やWEBで新車紹介記事を中心に活躍中。実は今回、高校の修学旅行以来20数年ぶりに京都を訪れました。

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